本記事は「雑阿含経巻第16-412」の内容を基に作りました。
そのような話はよしなさい
先日、お釈迦さんが「四諦」について話していた時、お医者さんに喩えられていたでしょう。
そうだね。
まだまだ、「四諦」について、いろんな表現ができそうだなって思うのだけど。
ああ。確かに。他の教えを聞いているときも、四諦の部分とリンクしているのかなって思うことがある。
そうそう。火の話とか、風の話とか……。
あなた達。「四諦」「四諦」ってその話しか、知らないの?
そうだよ。お釈迦さんは他にもたくさん話しているじゃない。「縁起」の話とか知ってる?
知ってる知ってる。私は「中道」の話も知っているよ。
私もそれは知っている。「無常・無我」の話は?
もちろん、知ってる。それは最低限おさえておく所でしょ。
だよね。私は、お釈迦さんの話したこと、一言一句覚えているよ。
私も、暗記しているよ。〇〇でしょ。それに〇〇でしょ。
私は戒律も全部丸暗記してるし。●●でしょ。●●でしょ。
私は〇〇も知っているよ。
私は●●を知っている。
ふむ。でも私の方が○○も知っている。
いや、私の方が●●を知っている。
私の方がもっと多く知っているよ。
いいや、私の方が博識ですよ。
何言ってんの? 君が言ってる話なんて、内容は大した事ないじゃないか。
いやいや。私の方が、理にかなっていますよ。
私の方がわかりやすいでしょうよ。
私の方が内容の質が高いですね。
でもその教えは、私が説明している話が前提にあるじゃないか。だから、私の言っていることがあってこそ、そっちの話がわかるんでしょう。
それだけ、私の方が、深いことを言っているってことじゃないんですかね。あなたの話は所詮前座にすぎないってことでしょう。
はぁ!? 前座だと。むしろ、こっちの話が必要な部分で、そっちは、無駄な講釈を垂れた、残りカスみたいなもんじゃないの?
はぁ!? 残りかすですと!?
何を言い争っているのですか?
お釈迦さん! 実はかくかくじかじかで……。
そうなんでよ。中途半端な知識で、こいつがバカにしてるんですよ。
いやいや。私の方が物知りですから。むしろ、あなたの知識が不十分なだけでしょう。
あなた達、そのような話はよしなさい。
そんな話は、仏法を理解する上で、何の利益ももたらさないですよ。
でも、お釈迦さんが話されていた教えそのものの話をしているんですよ。
そうですよ。どれもこれも、お釈迦さんが話していることですよ。
方向性が違います。
でも、ですね。
「でも」ではありません。とりあえず落ち着きなさい。
そもそも、どうしてそういう話になっているのですか。
すみません。最初は「四諦」の話をしていたのですが。
はい。かくかくじかじかで……。
ふむ。では、もし、どうしても議論したいというのであれば、四諦について論じなさい。いいですね?
はい……。
申し訳ありませんでした。
これ以上、争いにならなくてよかったね。
うん。良かった、良かった!
お釈迦さんは退席しました
というか、またこのパターンか。
でも、仏教の話してたじゃないか
同じ言葉を使っているからって、同じ話をしているとは限らない。同じ話をしているからって、中身が同じとは限らない。
あ……
でもさ、もう何度も聞いたよ。3度目だよ。この話。
同じ中身・内容だからって、同じ話とは限らない。
同じパターンだからって、受け取り方が同じとは限らない。
現に、話していることは違うじゃないか
そうだけどさ。でも納得いかないというかさ、
もうこのパターン知ってるよ。
「そんなことすでにわかってるわ!」ってなる気持ちもわかるけど、いくら分かっていても、人間そうなってしまうこともあるよねって話なんじゃないかな。
だから、「自分にもそうしてしまうことがあるから気をつけなきゃいけないな」って考えることもできるんじゃないかな。
あーー……。同じ話なのに、受け取り方に関しても、何にしても、どうしてそんな違いが生まれるの?
さぁ。何故かは知らないけど、そういうことあるでしょ。
少なくとも「もうその話知ってるわ」って、見向きもしなければ、見えるものも見えなくなるってのは言えるかもね。
本当に……、同じ話なのに、全然違う話になっているね……。
そう考えると、おもしろいな(笑)
補足
- 出典:雑阿含経巻第16-412
(四一二)如是我聞。一時佛住王舍城迦蘭陀竹園。時有衆多比丘。集於食堂。作如是説。我知法律。汝等不知我所説成就。我等所説與理合。汝等所説不成就。不與理合。應前説者。則在後説。應後説者。則在前説。而共諍論言。我論是汝等不如。能答者當答。爾時世尊。於禪定中。以天耳聞諸比丘諍論之聲。如是廣説。乃至於四聖諦。無間等者。當勤起方便起増上欲。學無間等。佛説是經已。諸比丘聞佛所説。歡喜奉行
(大正No.99, 2巻109頁c段22行 – 110頁a段2行)
国訳一切経阿含部2巻31頁
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