修行者は自己を調理する善き料理人

ちしょう
ちしょう

本記事は「雑阿含経巻第24-616」の内容を基に作りました。

善き料理人のたとえ

お釈迦さん
お釈迦さん

自己の身心を調えなさい。あっちがいいだろう、こっちがいいだろうと、他に追い求めることはやめなさい。

お釈迦さん
お釈迦さん

それは何故か?

お釈迦さん
お釈迦さん

例えば、愚かな修行者がいたとしましょう。

 

彼は努力することをしない。自分の事を顧みることもせず、他の事ばかり目がいってしまう。

弟子1
弟子1

それは自己を見つめないから、何がどう悪かったのか、自分でも分からない。だからどう努力していいかわからないかもしれませんね。

弟子2
弟子2

他の事ばかりに目がいくから、きっと自分の事はいつも棚上げにしてしまうのでしょう。だから努力しているようにみえないのかもしれません。

お釈迦さん
お釈迦さん

愚かである事を知らない愚かさ。それは自らを後退させ、そして自らの妨げとなるものを自らの手で生んでしまうでしょう。

お釈迦さん
お釈迦さん

例えば、一人の料理人がいたとしましょう。彼は努力せず、調理にも味付けにも意欲的ではない。

お釈迦さん
お釈迦さん

彼の主人(雇い主)が彼が作った料理を食べて、しょっぱい、甘い、酸っぱい、苦い、濃い、薄いなど、様々な意見を言ってくれます。

お釈迦さん
お釈迦さん

しかし、その料理人はそんなことは意に介さない。主人の意見もきかず、ましてや尋ねることもせず、気持ちをくむこともない。

弟子1
弟子1

それではおいしい料理を作る事はできません。

弟子2
弟子2

人によって好みも違いますから、提供する相手の意見を完全に無視してしまっては、当然、そうなりますよね。

お釈迦さん
お釈迦さん

主人が望む料理ができない料理人は、主人に喜ばれることはありません。主人に大事にされることもないでしょう。

弟子1
弟子1

大事にされないか……。ではどうしたら大事にされるのでしょう?

お釈迦さん
お釈迦さん

例えば、努力し、調理にも味付けにも意欲的な料理人がいたとしましょう。

お釈迦さん
お釈迦さん

彼は主人(雇い主)が好む味を、よく観察し、聞いて、味を調えます。

お釈迦さん
お釈迦さん

主人の好む味を知り、主人の意をむ。主人にもその客にもその人が欲するだろう調理をしようと努力しています。

お釈迦さん
お釈迦さん

そしておいしい料理を作るのです。主人が望む料理ができる料理人は主人に喜ばれます。だから大事にされるでしょう。

お釈迦さん
お釈迦さん

私達、修行の道を歩む者は、よく自己を観察し、自己を調えるのです。ちょうど善き料理人と同じように。

弟子2
弟子2

そうやって私達は自己を調理ととのえる。そういうことですね!?

弟子1
弟子1

自分を大切にするってことは、なにも自分だけを大切にすることってことだけじゃないようだね。

弟子2
弟子2

自己を調えるってことが、自分を大切にするってことでしょう。

弟子1
弟子1

それもあるけど、そうやって私が自己を調えることで、私もまた他者から大事にされるようになるってことだと思うんだよね。

弟子2
弟子2

なるほどね。

お釈迦さん
お釈迦さん

そうしたら自らを後退させ、また自らの妨げとなるものを、自らの手で生むことはないでしょう。

補足情報

  • 出典:雑阿含経巻第24-616

(六一六)如是我聞。一時佛住舍衞國祇樹給孤獨園。爾時世尊告諸比丘。當取自心相。莫令外散。所以者何。若彼比丘愚癡不辨不善。不取自心相。而取外相。然後退減。自生障閡。譬如厨士愚癡不*辨。不善巧便。調和衆味。奉養尊主。酸醎酢淡。不適其意。不能善取尊主所嗜。酸醎酢淡。衆味之和。不能親侍尊主左右司其所須。聽其所欲。善取其心。而自用意。調和衆昧。以奉尊主。若不適其意。尊主不悦。不悦故不蒙爵賞。亦不愛念。愚癡比丘亦復如是。不*辨不善。於身身觀住。不能除斷上煩惱。不能攝取其心。亦復不得内心寂靜。不得勝妙正念正知亦復不得四種増上心法現法樂住。本所未得安隱涅槃。是名比丘愚癡不*辦不善。不能善攝内心之相。而取外相自生障閡。若有比丘黠慧才辯。善巧方便。取内心已。然後取於外相。彼於後時終不退減。自生障閡。譬如厨士。黠慧聰辯。善巧方便。供養尊主。能調衆味。酸醎酢淡。善取尊主所嗜之相。而和衆味以應其心。聽其尊主所欲之味。數以奉之。尊主悦已。必得爵祿愛念倍重。如是黠慧厨士善取尊主之心。比丘亦復如是。身身觀念住。斷上煩惱。善攝其心。内心寂止。正念正*知。得四増心法現法樂住。得所未得安隱涅槃。是名比丘黠慧辯才。善巧方便。取内心相。攝持外相。終無退減。自生障閡。受心法觀亦復如是。佛説此經已。諸比丘聞佛所説歡喜奉行
(T0099_.02.0172b23-c23)

SAT大正新脩大藏經テキストデータベースより

  • 国訳一切経阿含部2巻174頁

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