欲によって欲を断ず|アーナンダ(阿難)の説法

ちしょう
ちしょう

本記事は「雑阿含経巻第21-561」の内容を基に作りました。

欲によって欲を断ず

他の修行者2
他の修行者2

アーナンダさん。あなたは何故の所で修行しているのですか?

アーナンダ
アーナンダ

断ずるためです。

他の修行者2
他の修行者2

何を断ずるのですか?

アーナンダ
アーナンダ

渇愛を断ずるためです。

他の修行者2
他の修行者2

渇愛?

弟子2
弟子2

のどが渇くと水を欲するでしょう。人は渇けば渇くほど水を欲します。「同じように愛に渇けばどうなるでしょうか?」ということですね。

弟子1
弟子1

愛を欲す。要するに強い欲望って感じかな? 愛に渇いた状態のような強い欲望だから渇愛か。

他の修行者2
他の修行者2

なるほど。なるほど。では、その渇愛とやらを、どうやって断ずるのですか?

アーナンダ
アーナンダ

欲によって渇愛を断じます。

他の修行者2
他の修行者2

はぁ? そんなの際限ないじゃないですか?

アーナンダ
アーナンダ

何故ですか?

他の修行者2
他の修行者2

だって欲を断ずるのに、欲を使っているっておかしいでしょう。

弟子2
弟子2

まぁ、確かに。欲を断ずるために欲を使って、その欲を断ずるために欲を使う。それは際限がないですね。

アーナンダ
アーナンダ

そうですか?

他の修行者2
他の修行者2

そうですよ!

アーナンダ
アーナンダ

際限がないってことはないでしょう。例えばあなたはこの修行の場に来たいと欲しましったか?

他の修行者2
他の修行者2

そりゃあ、ここに来たくて来ましたからね。

アーナンダ
アーナンダ

それも欲望ですよね。

弟子1
弟子1

確かに、○○したいって欲望ですね。

アーナンダ
アーナンダ

修行の場に来たら、欲望はみましたか?

弟子1
弟子1

まぁ、欲望に飲まれることはありませんね。その実践を説いているのですか?

他の修行者2
他の修行者2

そりゃあ、しっかりと努めていればそうなるでしょう。良い指導を受けて、しっかりと考えて続けるならばそれらの欲はむのでしょうけど。

弟子2
弟子2

しっかり考えよう、努めようとするのも、よく考えたら欲望なのでは?

他の修行者2
他の修行者2

え……?

アーナンダ
アーナンダ

しっかり努めよう、指導を受けてよく考えようとする欲は、修行の場に来たらむでしょうか?

弟子1
弟子1

それも欲というのなら、その欲はんではいません。

他の修行者2
他の修行者2

ああ、その通りだ。

アーナンダ
アーナンダ

お釈迦さんの見ている所は、このようなもの。そしてよく私達の苦しみに変化をもたらし、憂いや悲しみを断じてくれる。欲によって渇愛を断ずる。

 

渇愛を断じたら、あなたのいう欲望いうものに変化をもたらし、むでしょう?

他の修行者2
他の修行者2

はい。そうですね。ぐるぐると際限なく巡る私の思考もみました。

アーナンダ
アーナンダ

欲によって欲を断ずる。それは際限のないものですか?

他の修行者2
他の修行者2

いいえ。違いますね。今日は良いお話を聞けました。ありがとうございました。

補足情報

  • 出典:雑阿含経巻第21-561

(五六一)如是我聞。一時佛住倶睒彌國瞿師羅園。尊者阿難亦在彼住。時有異婆羅門。詣尊者阿難所。共相問訊慰勞已。於一面坐。問尊者阿難。何故於沙門瞿曇所修梵行。尊者阿難。語婆羅門。爲斷故。復問。尊者。何所斷。答言。斷愛。復問。尊者阿難。何所依而得斷愛。答言。婆羅門。依於欲而斷愛。復問。尊者阿難。豈非無邊際。答言。婆羅門。非無邊際。如是有邊際。非無邊際。復問。尊者阿難。云何有邊際。非無邊際。答言。婆羅門。我今問汝。隨意答我。婆羅門。於意云何。汝先有欲來詣精舍不。婆羅門答言。如是阿難。如是婆羅門。來至精舍已。彼欲息不。答言。如是尊者阿難。彼精進方便籌量。來詣精舍。復問。至精舍已。彼精進方便籌量息不。答言。如是尊者阿難復語婆羅門。如是婆羅門。如來應等正覺。所知所見。説四如意足。以一乘道淨衆生。滅苦惱。斷憂悲。何等爲四。欲定斷行成就如意足。精進定。心定思惟定斷行成就如意足。如是聖弟子修欲定斷行成就如意足。依離依無欲依出要依滅向於捨。乃至斷愛。愛斷已。彼欲亦息。修精進定。心定。思惟定斷行成就。依離依無欲依出要依滅向於捨。乃至愛盡。愛盡已。思惟則息。婆羅門。於意云何。此非邊際耶。婆羅門言。尊者阿難。此是邊際。非不邊際。爾時婆羅門。聞尊者阿難所説。歡喜隨喜。從座起去
(大正No.99, 2巻147頁a段13行-b段12行)

SAT大正新脩大藏經テキストデータベースより

  • 国訳一切経2巻147頁

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