本記事は「増一阿含経巻第31-5」の内容を基に作っています。
アヌルッダの不眠不休の誓い
説法中の居眠り
(只今、説法中)色無常無常即苦苦即非我非我者亦非我所如是觀者名眞實正觀如是受想行識無常無常即苦苦即非我非我者亦非我所如是觀者名眞實觀聖弟子……
zzz
ん?
じぃーーーーっ……
zzz
ツンツン >アヌルッダさん
(小声)アヌルッダさん! おきて、アヌルッダさん!
zzz
……、まぁ、続けましょうか。
(只今、説法中)受法快睡眠 意無有錯亂 賢聖所説法 智者之所樂 猶如深淵水 澄清無瑕穢 如是聞法人 清淨心樂受 亦如大方石 風所不能動 如是得毀譽 心無有傾動……
あっ、あなた達。アヌルッダさんに伝えておいてください。
「後で私の所へ来るように」と。
え? 私達がですか?
りょ、了解です。
はい。わかりました……
数時間後……
お釈迦さんの説教
失礼します。
師匠、アヌルッダさんを連れてきました。
はい。ご苦労さまです。
さて、アヌルッダさん。
私はあなたに聞きたいことがあります。
はい……。
何故、あなたは私の下に、弟子入りしたのですか?
えっ、弟子入りしたきっかけですか?
そんな昔のことが今の私とどう関係が?
よく思い出してください。
えっと、あの頃の私には、大きな悩みがありました。
その迷いを解決するにはどうしたらいいかと考え、そこで師匠と出会い、弟子入りをお願いしました。
その悩みや迷いは、苦しかったのではなかったですか?
ええ、もちろん。迷いや悩みですからね。苦しくないわけがないじゃないですか。
それで、あなたは、悩みや迷い、苦しみは、解決されたのですか?
えーっと。正直にいいますと、あの時、弟子入りを認められたら、それだけで、何だかほっとしちゃいまして……。
迷いや悩みって言っても、あの時は、何も答えがなかったですし、見当もつきませんでしたからね。そんな状態では、不安で仕方がないですよね。苦しかったです。
ですが、師匠についていけば何とかなると思ったので……。
もう一度、聞きます。
あなたは、悩みや迷い、苦しみを、解決されたのですか?
私は……? え、あれ?
どうなんでしょう。
「私は悩みや迷い、苦しみを解決しました」というのは、何か違うと思います。
そうですか。少し安心しました。
では、あなたは、悩みや迷い、苦しみを解決していない、と。
それで、何故、あなたは私の下に、弟子入りしたのでしたか?
悩みがあり、迷いがあり、苦しみがありました。それらを解決したくて、私は、弟子入りしました。
では、何故、私が教えを説いている時、居眠りをするですか?
いや、えーっと、その。聞こうとはするのですが、聞いているとだんだん眠くなってきてしまうというか……。
いや、でも……、はい。
そう……ですよね……。
……。アヌルッダさん。何か申し開きしたい事はありますか?
いいえ。申し訳ありません!
私、アヌルッダは誓います。これからは眠りません。
師の前で……、決して……。
よろしい。わかっているならそれでいいのですよ。
本当に申し訳ありませんでした。
その後……
眠らないアヌルッダ
そういえば、こないだアヌルッダさんが居眠りしていた件だけど、正直、私も、話をただ聞いていると、たまに、眠くなることあるんだけど?
まぁ、そんな時もありますよね。でも、さすがに何度も続いたら、ただの居眠りで済まないんじゃないの?
まぁ、居眠りも続けば、それは、怠けってことになるのかな。
しかも、お釈迦さんの教えって、アヌルッダさんのいう苦しみの解決と無関係じゃないからね。
ああ、師匠も苦しみを解決したくて、家を出た経緯があるもんね。
ほら、師匠の説法が始まるよ。
(只今、説法中)
師の前で誓ったんだ……。
決して眠らないぞ。決して……
アヌルッダさんも起きてるね。
そだね。よかった、よかった。
その夜
zzz
zzz
決して眠らないぞ。決して……
数日後……
決して眠らないぞ。決して……
うわっ!? ちょっとアヌルッダさん。大丈夫ですか!?
何か目の焦点が定まっていないような……。
朦朧としてるじゃないですか。
一体、どうしたんですか!?
いや、絶対、眠らないので……。
まさか……。あれから一睡もしてないんですか!?
いや。これ、ダメでしょ……。
師匠! 師匠!
どうしました?
アヌルッダさんが!
その! ……あの!
全く眠っていません!
そうですね。
最近、私の説法中、全然眠っている所を見ないですね。
じゃなくてですね……。
あれから、一睡もしていないみたいなんですよ。
!?
あれからって、まさか、説教した、あの日からですか?
はい!
それで、目が! 目が!
よくみたら朦朧として!
アヌルッダ!
アヌルッダ!
……ん?
あ……、何でしょうか、師匠?
ちょっ、目が……。大丈夫ですか!?
眠っていないって本当ですか!?
ちゃんと寝ないとダメじゃないですか!
いや、しかし……私は眠らないと誓いました。師匠も眠ってはいけないと言ったじゃないですか!?
もう、私は怠け者ではないのです。そして、二度と怠けへとつながることはしないと心に誓ったのです。
そうです。惰眠を貪るわけにはいかないのです!
いや、そういう事では……。
じゃぁ、居眠りするなって、あれは嘘だったのですか!?
いいですか。確かに眠りすぎは怠惰へとつながります。
しかし、やり過ぎはよくありません。
無理してもダメなんですよ。
私はいつも話しているじゃないですか。
「中道」という教えを。
ここで「中道」と言われましても、私は師匠の前で誓ったのです。その誓いに反することなんてできません。
そんなの違うと思います!
あのさ、「中道」って何?
今、それどころじゃないから、後でね!? >弟子1
とりあえず、師匠、ここは、アヌルッダさんの眼を、お医者さんに診てもらったほうがよろしいのでは?
そうですね。急いでシヴァカさんを呼んで下さい!
シヴァカって誰です?
いつも診てくれるお医者さんだよ!
診察:医者のシヴァカ
シヴァカさ~ん。
はい? なんでしょうか?
シヴァカさん。
すみませんが、アヌルッダさんの目を診てやってくれませんか?
診察ですね。ではアヌルッダさん。目を見せてくださ~い。
いや、私は何も悪くないし、どこも悪くないはずです!
アヌルッダさん。これ、見えますかぁ?
いや、だから何も悪くないって言っているじゃないですか!?
なるほど。そうですね。う~ん。
アヌルッダさん。あなた、ちゃんと睡眠とってますか?
眠りは怠惰へとつながります。
私は怠惰という悪へとつながる眠りに耐えているのです。
悪いことなど一切していないのです。
う~ん。つまり、睡眠をとってないってことですね。
あのぉ、お釈迦さん。
はい。どうでしょうか。彼の眼は大丈夫ですか?
いいえ、率直に言いますと、よくありません。
視力も大分弱っているようです。
このままでは、失明の恐れもあります。
ならば、早く治療してあげてください!
いや、治療というか……。
まず根本的な原因として、睡眠をとらないからですよ。
眠らないことには、手の施しようがありません。
少しでも寝てくれれば、治す努力は致しましょう。
ですよね……
お釈迦さん、説得を試みる
アヌルッダさん。
お医者さんもこう言っていることですし、ちゃんと寝てください。
いや、でも、しかし……
いいですか。アヌルッダさん。いいえ、アヌルッダ!
誰にでも、何にでも糧というものが必要なんです。
食べるから保つことができる。でも食べなければ滅んでしまう。
眼にとって、睡眠は食事なんです。糧なんです。
いや、でも、師匠も納得されたじゃないですか。眠りませんと私が誓った時に、「よろしい」と言ってくれたじゃないですか!?
糧というなら、あの言葉こそが私の糧なんです。
あの言葉があったからこそ、私は眠らない誓いを立てた。
というとなんですか……。あの言葉は糧なんかではないというのですか!? 嘘だったんですか!?
私の言ったこと、つまり教えも、確かにあなたの糧となります。
だから私は、その教えを説いている最中に眠っていたあなたを見て、眠ってはいけないと言いました。
でも、今のあなたには、今のあなたの眼には、睡眠という糧が必要なんです。
いや、眼には睡眠が糧ということはわかりますよ。
でも、何度も言いますが、あの時の言葉があったからこそ、眠らないという誓いを立てることができたんです。
師匠、あなたの弟子入りしたきっかけを、あの時の言葉が私に、思いださせてくれた。苦しみの解決をしたいとあの頃の気持ちを思い出させてくれた。
そんなことも忘れて、私はよく居眠りをしていた。怠け者です。だから私はこれ以上怠けてはいけないのです。これ以上、眠りによって、貴重な時間を割くことはできません。
怠けないことこそが、苦しみの解決、その糧となると、私はあの時気づいたのです。
それが間違いとでもいうのですか?
いえ、怠けないことは、苦しみの解決の糧となる。それは、間違いではありません。
怠けないことが糧なんですよね!
私にとって、眠っていたことは失態だったのです。眠りは怠けへとつながるものです。
しかし、今のあなたには、眠ることが───
確かに、今、師匠がいったように、眠ることが目の糧ということは分かりますよ。
でも、矛盾するじゃないですか。
結局、どっちかしかできないじゃないですか。
どっちかが正しくてどっちかが間違えであるのであれば、私は「眠らないこと」を選びます!
いえ、ですから、いつも「中道」という教えを説いているじゃないですか。
どっちかしかできないとか、どっちが間違っているとか、そういう話ではないのです。
とにかく、お願いですから、寝てください。
今のあなたには眠ることが必要なのです。
結局、寝ろってことでしょう?
どっちかってことじゃないですか!?
とにかく、私は眠りません。
失礼します!
ちょっと、アヌルッダ! アヌルッダ!
行ってしまいましたね……
ところで師匠、「中道」って何ですか?
えっ?
すみません。今はそれどころではないので……。
私はアヌルッダさんを追います。
すみません……
アヌルッダの洞察:お釈迦さんのいう幸福とは?
お袈裟を縫う
今日はお袈裟を縫わないといけないかなぁ……
私のも、大分ほつれてきちゃったよ。
なら、一緒にやりますか。
ん? 向こうでも誰か縫っているみたいだね。
アヌルッダさんだね。
大丈夫かな?
ん? どういうこと?
ああ、この前のことがあったじゃない。
あれからね。アヌルッダさんの目、どんどん悪くなっているって、今ではもう視えていないんじゃないかって聞いたんだけど……。
え? そうなの?
それって、お袈裟縫うのも至難の業じゃない?
私なんて、針に糸を通すところで、わりと苦戦しているのに……。
ちょっと、手伝いにいきません?
そだね
ってあれ? ちょっとまって。
誰かアヌルッダさんに声かけているよ。あれって師匠じゃない?
針に糸を通してほしい|福いの力
アヌルッダ。私がそれを通してあげますよ。
師匠!? もしかして、私、口に出していましたか?
何がですか?
誰でもいいから、この針に糸を通してくれないかなと……。
ならば、ちょうどいいじゃないですか。
ほら、貸してください。
いやいや、ちょっと待ってください。確かに誰でもいいとは言いましたが、私は師匠に向かって、そのような事を考えていたのではありません。
誰でもいいのでしょう?
私は例外ということですか?
そうですよ。例えば、世の人は皆、各々が、その幸福を追い求めています。その点、師匠は、その範疇に収まらないですよね?
私の為にこの針に糸を通してほしいとお願いしたのは、そうやって幸福を追い求めている凡人に対してのお願いです。
師匠みたいな特別な人へのお願いではありません。
アヌルッダさん。世の人は、皆、幸福を追い求めています。
でも、私ほど真剣に幸福を求めている人はいないでしょうね。
え? 師匠も幸福になることを追い求めているのですか?
それは、満足したり、忌み嫌ったりするわけじゃないんですよ。
今のあなたになら、伝わるのではないですか?
仏道もとより生死の海をわたる……。
それで、私はあの時の考えからも脱したか……。
この世の中には色々な力があります。
例えば、知力や腕力にあるいは権力や暴力など。
力とつくものは、数えきれません……。
でも仮にその中で最も勝れているのは何かと問われれば、私はその福力と答えるでしょうね。
その福力によって仏道が成りたっているのですから。
ほら。あなたの針。もう既に通ってますよ。
師匠……。ありがとうございます。
それでは。私はこれで失礼します。
お釈迦さんは退席しました。
福い(幸福)とは?|「中道」の教え(仏教用語)
アヌルッダさん。アヌルッダさん。
おや。お二方じゃないですか。
この前はご迷惑おかけして申し訳ありません。
いえいえ。それよりも、今の話、どういうことですか?
聞かれてしまいましたか……。
あんなことがあって、私もだいぶ見え方が変わったと思っていたんですがね……。
いや、でも、師匠となんだか通じ合っている気がしましたよ。
そういっていただけると嬉しいですね。
まぁ、あの後、色々ありましたからね……。
あの、お二人はお気づきかも知れませんが、私、視力を失ってしまいました。お二人にも、また師匠にも色々と気遣ってもらったのに……。
そうだったんですね……
でも、そのおかげで、色々と見えてきたことがありました。
その話ならできますし、それが、お二人の疑問への応えになるかもしれないのですが……。
是非、聞かせてください。
お二人共、私の今回の一連の行動を思い出してみてください。
眠らなかったことですか?
それもそうですが、その前から、私はよく師匠の説法中に居眠りをしていましたよね?
そうですね。ほぼほぼ、眠っていましたよね(笑)
ハハハ……。改めて言われると恥ずかしいですね。
まぁ、とにかく、私はそれは良くないと思ったわけですよ。
居眠りばかりして、怠けていた。師匠の弟子になっただけで満足して、そこに甘んじていました。自分は緩み切っていたわけですね。
そこで、師匠はそんな私を諫めてくれました。
そうですね。怠けるのは良くないと知って、アヌルッダさんも舵を切りましたね。
そうなんですよ! 頑張らなければならないと舵を切ったわけです。
でも、言っては何ですが、アヌルッダさんはやりすぎでしたよ。
頑張るにもほどがあります。
そうなんですよね……。あの時の私は、頑張ることしか目に入らなかったんです。
でも頑張ることは悪いことではないですよ。
いやいや、頑張ることが体を壊すって悪い結果につながったじゃない。
でも怠けちゃダメでしょう?
そうだけど……。
気を張ってばっかりじゃ、無理がかかるでしょう。
たまには、休めることも必要だと思うけど?
お二人とも間違っていませんよ。その通りなんです。
だから師匠も「中道」と、言ってくれていたのですよね。
「中道」ですか?
それ私も聞きたかったんです。
それってどういうことなんですか?
すでにお二人でお話しているじゃないですか(笑)
例えば、運転している時を思い出してください。車でも自転車でも何でもいい。道を進んでいます。
進むにつれ、どんどん、左に寄っていってしまいました。もう少しで道から外れそうです。あなたはどうしますか?
そりゃ、右に舵を切ります。
はい。そうすれば道を外れることなく、進むことができます。
では、右に右にと寄ってしまい、道から外れそうになった場合、あなたはどうしますか?
そんなの、左に舵を切るに決まっているじゃないですか。
はい。そうすれば、道を外れることなく、進むことができます。
そうやって、右へ左へと舵を切る、つまり運転しているわけですね。
私達自身もまた、自己を運転しているわけです。
自己を運転?
先ほどの話に戻りますが、頑張ることと休むことは相対する言葉です。つまり、反対語ですね。
左と右が反対の意味であるように。
頑張ることは、力を入れること。
逆に休むことは、力を抜くこと。
頑張る(気を張る)⇔休む(気を緩める)
はい。反対の意味です。
仮にここでは、「頑張る」を左に舵を切ること、「休む」を右に舵を切ることに当てはめてみましょうか。
さて、ここで問題です。
人間、頑張って、頑張って、頑張りつづけたら、どうなりますか?
無理がかかる。まぁ、限界を超えてしまいますね。
その通りです。そして、あなたは道から外れそうになりました。
どうしますか?
右(休むこと)に舵を切ります……ね。
はい。そうすれば道を外れることなく、進むことができます。
なるほど。
だから休むことも大事なわけですね。
はい。
だからといって、休んでばかりいると……
怠け者になってしまうわけですね。
その通りです。そして、あなたは道から外れそうになりました。
どうしますか?
左(頑張ること)に舵を切りますね。
はい。そうすれば道を外れることなく、進むことができます。
なるほど。道を外れないよう、真ん中を進む。それが中道なんですね。
そこが難しいところなんですよね。
え?
だって、真ん中を走っていれば、道は外れないでしょう。
中道は、自己の運転です。
だから、実際に自分で自分を運転して、つまり自らの実体験から学ぶことが大事です。
例えば、私の場合、普段から気が抜けがちで、怠け癖がついていました。師匠に弟子入りした当初の想い、頑張ることを忘れて、休むことしか考えていませんでした。
それは、言い換えれば、右舵しか切れない状態だったということですね。
右(休むこと)にしか舵がきれない。それはもはや、休むとは言わずに、サボりですね。
それを師匠に諫められて、頑張ることの大切さを思い出しました。
それ自体は良かったのです。おかげで怠けへと外れていた自分は、再び道を歩み始めたのですから。
でも、私は、頑張ることが正しさを知って、頑張ることしか目に入らなくなってしまいました。
つまり、左舵しか切れなくなってしまったわけですね。
左(頑張ること)にしか舵がきれない。それはもはや、頑張りとは言わずに、無茶ですね。
一方にしか舵がきれないのであれば、いずれ道を外れるのは明白です。
要するに、一方に囚われて、偏っていってしまったわけです。
いや、だから、真ん中なら、道外れないじゃないですか?
舵を真ん中に固定してしまったら、運転できないでしょう?
あ……、あれ?
むしろ、一番、運転できないね(笑)
まだ、右だけ、左だけでも、舵がきくほうがマシ。
私たちは、右にも、左にも舵を切れるからこそ、運転できるということを忘れてはいけません。
何が大事か、わかりますか?
頑張ることも大事。
休むことも大事。
頑張ることと休むことは、違うことなのに、同じく大事なわけですね。
となると、福の話も、ただ単に幸福が満たされるってだけの話ってわけじゃないの……か?
まぁ、満足することだけが幸福かと言われれば、そうとは言えないと思うけど。
そう聞くと、「満足することが幸福ではない」と断言してしまいそうだけど……、「満足するような幸福を追求するな」って否定(忌み嫌う)しているわけでもないよね?
まぁ、満たされることを忌み嫌う(否定)ことで幸福になるかと言われれば、そうとは言えないと思うけど。
なんか、頭で考えるとややこしい……
んー。まぁ、そこは、きっと、各々が歩むことで見えてくる事なのでしょうね。
補足情報
より原文に近い形の記事があります。
- お袈裟について
- 出典:増一阿含経巻第31-5
(五)聞如是。一時佛在舍衞國祇樹給孤獨園。爾時世尊與無央數百千萬衆而爲説法。爾時阿那律在彼坐上。是時阿那律在衆中睡眠。爾時佛見阿那律睡眠。便説此偈 受法快睡眠 意無有錯亂 賢聖所説法 智者之所樂 猶如深淵水 澄清無瑕穢 如是聞法人 清淨心樂受 亦如大方石 風所不能動 如是得毀譽 心無有傾動是時世尊告阿那律。汝畏王法及畏盜賊而作道乎。阿那律報曰不也世尊。佛告阿那律。汝何故出家學道。阿那律白佛言。厭患此老病死愁憂苦惱。爲苦所惱故欲捨之。是故出家學道。世尊告曰。汝今族姓子。信心堅固出家學道。世尊今日躬自説法。云何於中睡眠。是時尊者阿那律即從座起偏露右肩。長跪叉手白世尊言。自今已後形融體爛。終不在如來前坐睡。爾時尊者阿那律達曉不眠。然不能除去睡眠。眼根遂損。爾時世尊告阿那律曰。勤加精進者。與調戲蓋相應。設復懈怠與結相應。汝今所行當處其中。阿那律白佛前。已在如來前誓。今不能復違本要。是時世尊告耆域曰。療治阿那律眼根。耆域報曰。若阿那律小睡眠者我當治目。世尊告阿那律曰。汝可寢寐。所以然者。一切諸法由食而存非食不存。眼者以眠爲食。耳者以聲爲食。鼻者以香爲食。舌者以味爲食。身者以細滑爲食。意者以法爲食。我今亦説涅槃有食。阿那律白佛言。涅槃者以何等爲食。佛告阿那律。涅槃者以無放逸爲食。乘無放逸得至於無爲。阿那律白佛言。世尊。雖言眼者以眠爲食。然我不堪睡眠爾時阿那律縫故衣裳。是時眼遂敗壞。而得天眼無有瑕穢。是時阿那律。以凡常之法而縫衣裳。不能得使縷通針孔中。是時阿那律便作是念。諸世間得道羅漢當與我貫針。是時世尊以天耳清淨聞此音聲。諸世間得道阿羅漢者。當與我貫*針。爾時世尊至阿那律所而告之曰。汝持*針來吾與貫之。阿那律白佛言。向所稱説者。謂諸世間欲求其福者與我貫*針。世尊告曰。世間求福之人無復過我。如來於六法無有厭足。云何爲六。一者施。二者教誡。三者忍。四者法説義説。五者將護衆生。六者求無上正眞之道。是謂阿那律。如來於此六法無有厭足。阿那律曰。如來身者眞法之身。復欲更求何法。如來已度生死之海。又脱愛著。然今日故求爲福之首。世尊告曰。如是阿那律。如汝所説。如來亦知此六法爲無厭足。若當衆生知罪惡之原身口意所行者。終不墮三惡趣。以其衆生不知罪惡之原故墜墮三惡趣中。爾時世尊便説此偈 世間所有力 遊在天人中 福力最爲勝 由福成佛道是故阿那律當求方便得此六法。如是諸比丘當作是學。爾時諸比丘聞佛所説。歡喜奉行
(大正No.125, 2巻718頁c段17行 – 719頁b段19行)
国訳一切経阿含部9・10巻150頁
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