【仏教トーク13-2】無益な争論2

ちしょう
ちしょう

この会話は、古いお経の一つである「雑阿含経巻第16-413」の内容を参考にしました。

そのような議論はやめなさい

弟子A
弟子A

コーサラ国のパセーナディ王、最近、すごい勢いだよね。

弟子B
弟子B

ああ、ひと昔前まで、ここらで最大の勢力を誇ったと言われるカーシー国を手中に収めたわけだからね。よっぼどの実力者じゃないの?

弟子A
弟子A

やっぱり、ここらじゃパセーナディ王が一番かな。

弟子B
弟子B

いやいや。ビンビサーラ王もすごいよ。あのマガダ国の。

弟子A
弟子A

ああ。ビンビサーラ王妃はコーサラ国の王族だっけ。ビンビサーラ王と結婚の際に、マガダ国はカーシー国の一部をその傘下に収めたとか……。

弟子B
弟子B

だからここらで一番は、ビンビサーラ王でしょう。

弟子A
弟子A

いや、でもパセーナディ王の方がすごいんじゃない?

弟子B
弟子B

マガダ国の経済力はすごいでしょう。

弟子A
弟子A

コーサラ国の軍事力もすごいって聞くよ。

弟子B
弟子B

軍備にもお金がかかるじゃない。だからやっぱりビンビサーラ王がここらへんで一番じゃないかな。

弟子A
弟子A

いいや。強さで言えば、パセーナディ王でしょ。

お釈迦さん
お釈迦さん

あなたたち。一体何の話をしているのですか?

弟子A
弟子A

お釈迦さんししょう、いい所に。パセーナディ王とビンビサーラ王どちらが強いと思われますか?

弟子B
弟子B

お釈迦さんししょうは、どちらの王にも会ったことがありましたよね?

お釈迦さん
お釈迦さん

なぜ、あなた達が、各王の勢力や財力について語っているのですか?

弟子B
弟子B

え? いや……。

お釈迦さん
お釈迦さん

そのような議論はよしなさい。

それは、仏法を理解する上で、何の利益にもなりません。

弟子A
弟子A

でも、王の行動如何によっては、様々な影響があるじゃないですか。

弟子B
弟子B

そうですよ。その影響によって、苦しみが生まれることだってあります。

弟子A
弟子A

「苦」についての話ってことじゃないですか。

弟子A
弟子A

はい……

弟子B
弟子B

申し訳ございません。

お釈迦さんは退席しました。
弟子A
弟子A

いやいや。前にもこんな事あったよね

弟子B
弟子B

そうだね。前にも同じ事、聞いた気がするよ

弟子A
弟子A

前回は「命」で、今回は「苦」。

どっちも大事な話だと思うんだけど……。

弟子B
弟子B

「命」や「苦」の話をしちゃダメってことなのかな?

弟子2
弟子2

あ、いや。同じテーマはテーマでも「論点がずれている」ってことだと思うよ。

弟子1
弟子1

人間、誰にでも、そんなことありますよね。

私にもあるし。今も昔も。どこにでもある話。

弟子2
弟子2

そうだね。同じ「言葉」、例えば「命」について話しているつもりでも、何ていうか、話がかみ合っていないというか。論点が違うというか……。

弟子1
弟子1

「そういう話になってしまうの!?」ってことあるよね。

弟子A
弟子A

同じ言葉、例えば「苦」を念頭に話していても、全然違う中身の話をしているってことか?

弟子2
弟子2

そそ。同じ言葉を使っているからって、同じ話をしているとは限らない。同じ話をしているからって、中身が同じとは限らない。

弟子B
弟子B

ふむ。何にせよ、お釈迦さんししょうが伝えたい事と私達が受け取ったことは違うってことか……。それはそれで凹むな。

弟子1
弟子1

まぁ、それはそうだけど、自分に才能がないとか、自分を否定的に考えるような方向で、考えないほうがいいよ。

弟子B
弟子B

もしかして、「凹むな……」って話になるのも、論点が違うってことの一つなのか?

弟子A
弟子A

そうかもしれないね(笑)

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