アメリカの禅の学び舎、禅センター

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本記事は、曹洞宗総合研究センター在籍時、2011年5月~2012年1月にかけて、海外研修として、アメリカのロサンゼルス、サンフランシスコ、そしてブラジルのサンパウロに行った時の記録の一部です。

タサハラ禅マウンテンセンター

2011年5月、北米に訪れて次の日、サンガウィークに参加するため、 タサハラ禅マウンテンセンター禅心寺に向かうことになりました。

ロサンゼルスから車で8時間。途中、舗装されていない山道をかなりの時間走りました。険しい道のりで、途中パンクしている車もありました。

山を奥へ奥へ。そしてやっと禅センターが見えてきました。

タサハラ禅マウンテンセンターは、10月~4月までがプラクティスシーズン、5月~9月までがゲストシーズンと呼ばれています。

ゲストとは?

私が行った5月はちょうどゲストシーズンが始まる時期です。

ゲストシーズンというのは、その名の通り、ゲスト(お客)を迎える期間のことで、お客さんがこの地に保養を目的にやってきます。

携帯電話の電波も届かない。電線もないので、明かりはランプ。(ソーラーパネルはあるので多少の電気は使えます)夜は薪ストーブで暖をとる。

アメリカでは休暇の過ごし方として、都会の喧騒を離れ、このような場所でゆっくりと休みを取るスタイルが定着しています。

元々タサハラは、インディアンの保養地として温泉があった場所。

日本人の感覚からすると、ゲストは秘湯にでも訪れるような感覚なのかもしれませんね。

他にもプールや登山道などもあります。またゲストには、夜だけ特別なディナーが用意されます。

全てベジタリアン料理。タサハラの料理は有名で、そのレシピ本も出版されています。

そして朝は気が向けば、ゲストも坐禅に参加することができます。

こうしてゲストはのんびりと過ごすわけです。ゲストとしてタサハラに行くのであれば、日本でいう宿坊と似ていると考えてもいいのかもしれません。

サンガウィーク

ちなみに私が行ったのはサンガウィークというもので、今では半分ゲスト(お客)として、半分お手伝いとしてタサハラに滞在できる期間となっています。

ちなみにサンガウィークは元々、他から曹洞宗の僧侶がここへ手伝い(仏教の事はもちろん、日本的な建物の建築や日本文化のレクチャー等)にやってきた所から始まったらしいです。

今回の滞在では、タサハラに案内して下さった禅宗寺の和尚さんは、茶道のレクチャーをされていました。また私はお手伝いとして、この和室の障子の張替えなどを行いました。

プラクティスシーズンとスチューデントについて

ところで、ゲストシーズンはお客を迎える期間となっていますが、一方のプラクティスシーズンは、大分雰囲気が異なるようです。

プラクティスシーズンは単純に翻訳すれば、修行期間となります。この間、禅センターへゲスト(保養や観光目的)として行くことはできません。

この期間は、禅の修行を志す人のみ滞在することができます。禅センターは、僧侶のみならず、誰でも禅の修行者として滞在することができます。

そうして禅センターにやってくる人達はまず、「スチューデント」として修行生活をします。

またスチューデントにとって、ゲストシーズン中、ゲストを迎えるのも大切な修行の一環です。

「どうして禅の修行でこのようなことをしなければならないのか?」

そういう質問がスチューデントからされる事もあったそうです。

ここを設立した鈴木老師は、その質問に対し、こう答えたそうです。

「これがアメリカでの 托鉢の形なのだ」と。

そんな発想の柔らかさが、今でも印象深く残っています。

形は変われども、その根幹が伝わっていく。そしてそのおかげで、こうしてアメリカに禅が根づいているのだなと感じた次第です。

さて、私はタサハラでは、サンガウィークのみの参加となるため、半分以上ゲストとして滞在したようなものですから、禅センターでどのような事を行っているのかは、後ほど、スチューデントとして滞在した他の禅センターでご紹介させていただきたいと思います。

補足

托鉢について

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