目先の利益にとらわれるデーヴァダッタ【仏教トーク】

ちしょう
ちしょう

本記事は「雑阿含経巻第38-1064」の内容をもとに作りました。

仏教トーク(会話文)

目先の利益にとらわれてはいけない

ナレーション
ナレーション

ある日、お釈迦さんの弟子達が町に行くと、たくさんの人だかりができていました。

弟子A
弟子A

何だろう? すごい騒ぎになっている。

弟子B
弟子B

今日はお祭りか、何かですか?

男性1
男性1

いや、そうではなくて。今日はマガダ国の王子のが、侍従を引き連れてこられているのですよ。

弟子B
弟子B

へぇ。すごい数ですね。そんな大勢で王子がやってくるなんて、何かあるんですか?

男性1
男性1

お釈迦さんの弟子のデーヴァダッタという方に、供養する為だとか……。全部で500人ほどいるみたいなので、そりゃあ、大勢にもなりますよね。

弟子A
弟子A

ぇえ! デーヴァダッタさんって、そんなたくさんの人に慕われているの?

男性1
男性1

一国の王子が支援しているくらいですからね。そりゃあ、慕う方も多いのではないですか?

弟子B
弟子B

すごいな。もはやパレードですね。

弟子A
弟子A

デーヴァダッタさん、うわさには聞いていたけど、ここまでやり手だったんですね。

男性1
男性1

そうですね。一回の供養で、これだけのパレードになるんですから。かなりの財が投入されているでしょうね。


ナレーション
ナレーション

一国の王子から供養を受けるデーヴァダッタさんの様子は、お釈迦さんの下にも伝わりました。


弟子A
弟子A

……と、いう事が町で、ありました。すごかったです。

弟子B
弟子B

デーヴァダッタさんも、師匠の弟子なのですよね?

弟子A
弟子A

私も同じ師匠の弟子なのに、あんなに注目されているデーヴァダッタさんが少しうらやましいです。

お釈迦さん
お釈迦さん

あなた達、デーヴァダッタの行動をうらやむのはやめなさい。

弟子B
弟子B

でも、名誉なことじゃないですか。一国の王子に支援され、あんなに話題なって……。

お釈迦さん
お釈迦さん

そのような名利(名声や利益)をうらやむのはやめなさい。デーヴァダッタは、他にもそうやって地位や名声、財産を得ていると聞いています。私も注意はしたのですが……。

弟子A
弟子A

デーヴァダッタさんを止めたのですか?

お釈迦さん
お釈迦さん

はい。彼は今、自ら壊してしまっているのです。そしてまた少しずつ、周りを壊していっています。

弟子A
弟子A

あれだけ注目を集めて、支援をしてもらっているのですから、どんどん成長しているように思います。それでも、壊しているというのですか?

お釈迦さん
お釈迦さん

そうですね。バナナが実がなった後、枯れるようなものです。

弟子A
弟子A

バナナが枯れる?

弟子2
弟子2

バナナって実がなると、その株は枯れるのですよ。

弟子B
弟子B

そうなの? バナナの木って、実がなった後枯れるの?

弟子1
弟子1

大きな木に見えるけど、実際は草らしいよ。茎に見えるところは葉っぱらしい。そしてそこが枯れちゃう。

弟子A
弟子A

へぇ、そうなんだ。

弟子2
弟子2

はい。そして、実がなったら、その株は枯れます。

弟子B
弟子B

つまり、今、成っている果実をとったら、あとは枯れるだけってことですか?

お釈迦さん
お釈迦さん

デーヴァダッタは、今はたくさん成果をあげているように見えますが、その果実を受け取れば、今も壊れ、未来も壊れるでしょう。

弟子2
弟子2

つまり「目先の利益にらわれている」って事ですか。

弟子1
弟子1

そのせいで、本当に大切な事を見失っていると師匠は考えているのですね。

弟子B
弟子B

そういうもんですか?

お釈迦さん
お釈迦さん

そういうものです。時がたてばわかるでしょう。今、その利益を得ても、その先に苦難が待っています。

お釈迦さん
お釈迦さん

だからあなた達。たとえ、デーヴァダッタのように何かしらの利益を得ることがあっても、彼のように、執着し、欲望に染まることがないように。

補足

原文

  • 雑阿含経巻第38-1064

(一〇六四)如是我聞。一時佛住王舍城迦蘭陀竹園。爾時提婆達多有利養起。摩竭陀王阿闍世毘提希子。日日侍從五百乘車。來詣提婆達多所。日日持五百釜食。供養提婆達多。提婆達多將五百人別衆。受其供養。時有衆多比丘。晨朝著衣持鉢入王舍城乞食。聞提婆達多有如是利養起。乃至五百人別衆受其供養。乞食已還精舍。擧衣鉢洗足畢。往詣佛所。稽首佛足退坐一面。白佛言。世尊。我等晨朝著衣持鉢入王舍城乞食。聞提婆達多有如是利養起。乃至五百人別衆受其供養。佛告諸比丘。汝等莫稱是提婆達多所得利養。所以者何。彼提婆達多別受利養。今則自壞。他世亦壞。譬如芭蕉竹蘆生果即死。來年亦壞。提婆達多亦復如是。受其利養今世則壞。他世亦壞。譬如駏驉受胎必死。提婆達多亦復如是。受諸利養今世亦壞。他世亦壞。彼愚癡提婆達多隨幾時受其利養。當得長夜不饒益苦。是故諸比丘。當如是學。我設有利養起莫生染著。爾時世尊即説偈言 芭蕉生果死 竹蘆實亦然 駏驉坐妊死 士以貪自喪 常行非義行 多知不免愚 善法日損減 莖枯根亦傷佛説此經已。諸比丘聞佛所説。歡喜奉行
(大正No.99, 2巻276頁b段20行-c段16行)

SAT大正新脩大藏經テキストデータベースより

  • 国訳一切経阿含部3巻72頁

あとがき「デーヴァダッタとアジャータシャトル王子」

瓶沙王と優陀夷について
本記事は、下記の仏教トークの動画編集後記として書きました。登場人物「兵士と信者」に関して仏教トークの中で登場する人物の中に兵士と女性信者がいます。「原文をみてもそれにあてはまるような登場人物がいない!...

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