バナナは実がなると枯れる──デーヴァダッタと名利の話

デーヴァダッタと名利の話 仏教トーク43

雑阿含経巻第38-1064」をもとに構成。動画版英語版も順次公開
一国の王子から供養を受け、500人もの行列を従えて歩くデーヴァダッタ。
同じ師匠の弟子として、羨ましいと思うのも無理はありません。
でも、お釈迦さんはそれを「羨やむな」と言いました。
それは、なぜでしょう?

王子に慕われるデーヴァダッタ──名声と供養の行列

ある日、お釈迦さんの弟子達が町に行くと、たくさんの人だかりができていました。

弟子A
弟子A

何だろう? すごい騒ぎになっている。

弟子B
弟子B

今日はお祭りか、何かですか?

男性1
男性1

いや、そうではなくて。今日はマガダ国の王子のが、侍従を引き連れてこられているのですよ。

弟子B
弟子B

へぇ。すごい数ですね。そんな大勢で王子がやってくるなんて、何かあるんですか?

男性1
男性1

お釈迦さんの弟子のデーヴァダッタという方に、供養する為だとか……。全部で500人ほどいるみたいなので、そりゃあ、大勢にもなりますよね。

弟子A
弟子A

ぇえ! デーヴァダッタさんって、そんなたくさんの人に慕われているの?

男性1
男性1

一国の王子が支援しているくらいですからね。そりゃあ、慕う方も多いのではないですか?

弟子B
弟子B

すごいな。もはやパレードですね。

弟子A
弟子A

デーヴァダッタさん、うわさには聞いていたけど、ここまでやり手だったんですね。

男性1
男性1

そうですね。一回の供養で、これだけのパレードになるんですから。かなりの財が投入されているでしょうね。

バナナのたとえ──名声への執着は自らを壊す

一国の王子から供養を受けるデーヴァダッタさんの様子は、お釈迦さんの下にも伝わりました。

弟子A
弟子A

……と、いう事が町で、ありました。すごかったです。

弟子B
弟子B

デーヴァダッタさんも、師匠の弟子なのですよね?

弟子A
弟子A

私も同じ師匠の弟子なのに、あんなに注目されているデーヴァダッタさんが少しうらやましいです。

お釈迦さん
お釈迦さん

あなた達、デーヴァダッタの行動をうらやむのはやめなさい。

弟子B
弟子B

でも、名誉なことじゃないですか。一国の王子に支援され、あんなに話題なって……。

お釈迦さん
お釈迦さん

そのような名利(名声や利益)をうらやむのはやめなさい。デーヴァダッタは、他にもそうやって地位や名声、財産を得ていると聞いています。私も注意はしたのですが……。

弟子A
弟子A

デーヴァダッタさんを止めたのですか?

お釈迦さん
お釈迦さん

はい。彼は今、自ら壊してしまっているのです。そしてまた少しずつ、周りを壊していっています。

弟子A
弟子A

あれだけ注目を集めて、支援をしてもらっているのですから、どんどん成長しているように思います。それでも、壊しているというのですか?

お釈迦さん
お釈迦さん

そうですね。バナナが実がなった後、枯れるようなものです。

弟子A
弟子A

バナナが枯れる?

弟子2
弟子2

バナナって実がなると、その株は枯れるのですよ。

弟子B
弟子B

そうなの? バナナの木って、実がなった後枯れるの?

弟子1
弟子1

大きな木に見えるけど、実際は草らしいよ。茎に見えるところは葉っぱらしい。そしてそこが枯れちゃう。

弟子A
弟子A

へぇ、そうなんだ。

弟子2
弟子2

はい。そして、実がなったら、その株は枯れます。

弟子B
弟子B

つまり、今、成っている果実をとったら、あとは枯れるだけってことですか?

果実を受け取れば、今も未来も壊れる

お釈迦さん
お釈迦さん

デーヴァダッタは、今はたくさん成果をあげているように見えますが、その果実を受け取れば、今も壊れ、未来も壊れるでしょう。

弟子2
弟子2

つまり「目先の利益にらわれている」って事ですか。

弟子1
弟子1

そのせいで、本当に大切な事を見失っていると師匠は考えているのですね。

弟子B
弟子B

そういうもんですか?

お釈迦さん
お釈迦さん

そういうものです。時がたてばわかるでしょう。今、その利益を得ても、その先に苦難が待っています。

お釈迦さん
お釈迦さん

だからあなた達。たとえ、デーヴァダッタのように何かしらの利益を得ることがあっても、彼のように、執着し、欲望に染まることがないように。

補足

原文や動画版、英語版、仏教用語の説明や関連する仏教知識など、補足として参照できます。

動画版

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原文

  • 雑阿含経巻第38-1064

(一〇六四)如是我聞。一時佛住王舍城迦蘭陀竹園。爾時提婆達多有利養起。摩竭陀王阿闍世毘提希子。日日侍從五百乘車。來詣提婆達多所。日日持五百釜食。供養提婆達多。提婆達多將五百人別衆。受其供養。時有衆多比丘。晨朝著衣持鉢入王舍城乞食。聞提婆達多有如是利養起。乃至五百人別衆受其供養。乞食已還精舍。擧衣鉢洗足畢。往詣佛所。稽首佛足退坐一面。白佛言。世尊。我等晨朝著衣持鉢入王舍城乞食。聞提婆達多有如是利養起。乃至五百人別衆受其供養。佛告諸比丘。汝等莫稱是提婆達多所得利養。所以者何。彼提婆達多別受利養。今則自壞。他世亦壞。譬如芭蕉竹蘆生果即死。來年亦壞。提婆達多亦復如是。受其利養今世則壞。他世亦壞。譬如駏驉受胎必死。提婆達多亦復如是。受諸利養今世亦壞。他世亦壞。彼愚癡提婆達多隨幾時受其利養。當得長夜不饒益苦。是故諸比丘。當如是學。我設有利養起莫生染著。爾時世尊即説偈言 芭蕉生果死 竹蘆實亦然 駏驉坐妊死 士以貪自喪 常行非義行 多知不免愚 善法日損減 莖枯根亦傷佛説此經已。諸比丘聞佛所説。歡喜奉行
(大正No.99, 2巻276頁b段20行-c段16行)

SAT大正新脩大藏經テキストデータベースより

  • 国訳一切経阿含部3巻72頁

英語版

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あとがき「デーヴァダッタとアジャータシャトル王子」

デーヴァダッタは本当に悪弟子だったのか──経典から読む、もう一つの人物像
お釈迦さんの殺害を企てた悪弟子として知られるデーヴァダッタ。しかし経典の細部に目を向けると、単なる悪人とは言い切れない人物像が浮かび上がってきます。五つの提言が示すのは、行き過ぎた理想主義者としてのデーヴァダッタの姿です。

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