無益な争論|無限か有限か、有るか無いか

ちしょう
ちしょう

本記事は「雑阿含経巻第16-408」の内容を基に作りました。

ちしょう
ちしょう

そのような議論はやめなさい

弟子2
弟子2

この世界は永遠に、無限に続くのだろうか?

それとも有限なのだろうか?

弟子A
弟子A

やっぱり、この世界は永遠なんじゃないかな。

弟子B
弟子B

いやいや、限りがあるものでしょう。

弟子A
弟子A

限りがあるなら、例えば、宇宙の端ってどこ?

私は、どこまでも無限に続いていると思う。

弟子B
弟子B

いやいや、きっとどこかに限界があるよ。宇宙の果てがあるでしょう。

弟子A
弟子A

たとえ、その宇宙の果てがあったとしても、また、その先に、外宇宙が広がっているかもしれないじゃない。地球の外に、宇宙があるみたいに、宇宙の外に、更に空間があってもおかしくないと思う。だから無限でしょう。

弟子B
弟子B

いやいや、例えば、私達人間はいつか死ぬでしょう。それって私達人間の命って限りがあるってことじゃない?

だから、何にでも限りがある。有限だと思うよ。

弟子A
弟子A

そもそも、命って、この身体の事なの?

身体と命って別々なんじゃないの?

身体は朽ちても、魂という命はあるんじゃない?

弟子B
弟子B

いやいや、命も限りはあるでしょう。

そもそも、魂なんてないよ。

弟子A
弟子A

死んで、魂になった、死後の世界はあるでしょう?

弟子B
弟子B

死後の世界なんてないでしょう。

弟子A
弟子A

有るね!

弟子B
弟子B

無いね!

弟子2
弟子2

ごめんなさい。私が余計なこと言ったせいで。

少し落ち着いてください。ねっ?

弟子A
弟子A

そもそも君はどう思うのよ?

弟子2
弟子2

いや、私はよく分からないです……。どっちの言い分もあるような……

弟子B
弟子B

何それ? どっちなんだよ?

君はどう思う?

弟子1
弟子1

え? 私ですか?

私もよくわからないです。どっちでもないような気も……

弟子A
弟子A

何それ!? なら何なの?

弟子B
弟子B

だから限りが有るんだって!

弟子A
弟子A

いや、限りはないね!

お釈迦さん
お釈迦さん

どうしたんですか? 随分騒がしいですね。

皆、集まって何を話しているんですか?

弟子A
弟子A

私は、世界は無限だと思うんです。

弟子B
弟子B

私は、世界は有限だと思うんです。

弟子2
弟子2

お釈迦さんししょう。実はかくかくじかじか……

弟子1
弟子1

有限か、無限か、有るか、無いか、どっちだって……

お釈迦さん
お釈迦さん

あなたたち、そのような議論はよしなさい。

それは、仏法を理解する上で、何の利益にもなりません。

弟子A
弟子A

しかし、命の話でもあるんですよ。

お釈迦さん
お釈迦さん

方向性が違います。

弟子B
弟子B

だって、何かしらの結論を出したいじゃないですか。

お釈迦さん
お釈迦さん

もし、どうしても議論するのであれば、四諦について話しなさい。


補足

  • 出典:雑阿含経巻第16-408

(四〇八)如是我聞。一時佛住王舍城迦蘭陀竹園。時有衆多比丘。集於食堂。作如是論。或謂世間有常。或謂世間無常。世間有常無常。世間非有常非無常。世間有邊。世間無邊。世間有邊無邊。世間非有邊非無邊。是命是身。命異身異。如來死後有。如來死後無。如來死後有無。如來死後非有非無。爾時世尊。一處坐禪。以天耳聞諸比丘集於食堂論議之聲。聞已往詣食堂。於大衆前。敷座而坐。告諸比丘。汝等比丘。衆多聚集。何所言説。時諸比丘白佛言。世尊。我等衆多比丘。集此食堂。作如是論。或説有常。或説無常。如上廣説。佛告比丘。汝等莫作如是論議。所以者何。如此論者。非義饒益。非法饒益。非梵行饒益。非智非正覺。非正向涅槃。汝等比丘。應如是論議。此苦聖諦。此苦集聖諦。此苦滅聖諦。此苦滅道跡聖諦。所以者何。如是論議。是義饒益。法饒益。梵行饒益。正智正覺。正向涅槃。是故比丘。於四聖諦。未無間等。當勤方便起増上欲。學無間等。佛説此經已。諸比丘聞佛所説。歡喜奉行
(大正No.99, 2巻109頁a段27行-b段18行)

SAT大正新脩大藏經テキストデータベースより

国訳一切経阿含部2巻29頁

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