悟りを開いた後も、お釈迦さんは悩んでいた

仏教トーク50 悟りを開いた後も、お釈迦さんは悩んでいた

雑阿含経巻第39-1094」をもとに構成

お釈迦さんが菩提樹の下で悟りを開いた時、いったい何を考えていたのでしょうか。その一つが、苦行を捨てたことへの問い直しでした。

弟子たちが問いかけると、意外な答えが返ってきました。

苦行とは何か──お釈迦さんが捨てたもの

弟子1
弟子1

師匠は、菩提樹の下で坐っていた時に、大事なことに気づいたんですよね?

お釈迦さん
お釈迦さん

まぁ、そうですね。

弟子2
弟子2

その時何を考えていたんですか?

お釈迦さん
お釈迦さん

たくさん、色々考えましたね。

弟子2
弟子2

色々とは具体的に何ですか?

たくさんあるのであれば、何か一つ具体的な考えをお聞かせください。

お釈迦さん
お釈迦さん

例えば、「苦行について」も考えていましたよ。

弟子1
弟子1

苦行ですか?

お釈迦さん
お釈迦さん

はい。私は苦行は役に立たないものとして、捨てました。
苦行をやめてよかったなとも考えていましたね。

弟子2
弟子2

苦行とは、あえて自分に苦しみや厳しい制約を課す修業のことでしたね?

弟子1
弟子1

自分に苦しみを課す修業?

弟子2
弟子2

苦行はわざわざ苦しむ、つまり苦しみを追加していく修業といっていいかな。
だけど、 仏教は、すでにある苦しみをどう見るか、そしてどう解決していくかを考えるんだよ。

弟子1
弟子1

仏道を理解するのに、苦行は何の役にも立たない。

そういうことですか?

お釈迦さん
お釈迦さん

そうです。

常識を疑う勇気──お釈迦さんが自問自答したこと

お釈迦さん
お釈迦さん

言葉にすればたったそれだけの事なのですが、実は当時、悩んだものです。
「本当に、本当に苦行を捨てて良かったんだろうか?」と。

弟子1
弟子1

え? 悩んだのですか?
菩提樹の下で悟りを開いた直後なのに?
それなのに悩んだのですか?

お釈迦さん
お釈迦さん

はい。

弟子1
弟子1

そんな・・・・・・。その悩みは悪魔のささやきだったのでは?

お釈迦さん
お釈迦さん

面白いたとえですね(笑)
受け止め方は皆さんにお任せしますよ。
いずれにせよ、私は「本当に苦行をやめてよかったのかな?」と自問自答を繰り返していました。

弟子1
弟子1

へえ。

弟子2
弟子2

苦行することによって、悟りに至ると考える人は割と多いですもんね。
なんとなく、イメージで、苦しみを克服することによって、一般人を超えるみたいに考えてしまいがちですが、そんな発想も師匠は捨てたのですよね?

お釈迦さん
お釈迦さん

はい。皆がなんとなく、そうのように思っている、いわば常識を捨てた。そう言い換えることもできるかもしれませんね。

弟子2
弟子2

周りが漠然と信じている答えに対して、自分はその答えは違うと言う。それって結構勇気がいることですよね?

弟子1
弟子1

なるほど、だから師匠は、「本当にこれを捨てていいのか?」「苦行という常識をすてていいのか?」と自問自答されたのですね。

躊躇する気持ちはわかります!

お釈迦さん
お釈迦さん

ええっと、私も実際に苦行を経験してみましたが、苦行は意味のないこと、何の役にも立たないと、身をもって知りました。

 

弓の弦を弾けば音が鳴る。

この経験から得た智慧は、それと同じくらい、当たり前のことです。

弟子1
弟子1

師匠は、周りの常識ではなく、自分の経験から発見した、当たり前の答えを信じたわけですね。

弟子2
弟子2

そうか。師匠が自分の経験から得た答えをはっきり示した時、悩みという悪魔は、もう居場所がなくなって消えていったのですね?

お釈迦さん
お釈迦さん

そんな大袈裟なものではありませんけどね(笑)

補足

原文や動画、仏教用語の説明や関連する仏教知識など、補足として参照できます。

原文

  • 雑阿含経巻第39-1094

(一〇九四)如是我聞。一時佛住欝鞞羅處尼連禪河側菩提樹下初成正覺。爾時世尊獨一靜處。專心禪思作如是念。我今解脱苦行。善哉。我今善解脱苦行。先修正願。今已果得無上菩提。時魔波旬作是念。今沙門瞿曇住欝鞞羅處尼連禪河側菩提樹下。初成正覺。我今當往爲作留難。即化作年少。住於佛前而説偈言 大修苦行處 能令得清淨 而今反棄捨 於此何所求 欲於此求淨 淨亦無由得爾時世尊作是念。此魔波旬欲作嬈亂。即説偈言 知諸修苦行 皆與無義倶 終不獲其利 如弓彈有聲 戒定聞慧道 我已悉修習 得第一清淨 其淨無有上時魔波旬作是念。沙門瞿曇已知我心。内懷憂慼即沒不現
(大正No.99, 2巻287頁c段21行 – 288頁a段10行)

SAT大正新脩大藏經テキストデータベースより

  • 国訳一切経阿含部3巻109頁

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下記の仏教エピソードは、この記事のより原文に近い翻訳となります。

仏教エピソード④「苦行を捨てる」
「お釈迦さんって苦行によって悟りを開いたんでしょう?」いえいえ、それは大きな誤解です。確かに苦行はしましたが、お釈迦さんはその苦行を捨てました。

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